夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】

***

俺が適当に選んだ仕事は簡単すぎて、出向いたその日のうちにカタがついた。

いつもなら真っ直ぐ隠れ家に戻って、次の仕事を決める。
休みなんて、白金バッジになってからまともに取った事もない。
寄り道だって、した事ない。


でも、その帰り道。
俺はふとある場所に立ち寄った。
それは、アルバートが持つ別荘付近の海。


ーーらしくない、よな?

十年以上も忘れてた癖に、今更あの日のガキの笑顔が頭から消えなくなった。

依頼を引き受けるつもりはない。
ただ、元気なのか……気になった。

あの日と同じ笑顔をもう一度見れたら、それでいいと……。俺は思ってたんだ。
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