夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
アカリといると、仕事だって忘れる。
格好付けたくなる。
アカリが喜ぶ事をしてやりたいと、思う。
だから俺は自分の父親の事を知りたがるアカリを別荘から連れ出し、夢の配達人の隠れ家がある港街へ連れて来た。
本来、依頼内容にはない事をするのはご法度。
バレたり何か事件になれば間違いなく俺のクビは飛ぶ。
何をやってるんだ?俺は……。
何度も何度も、自分の中に木霊する問い掛け。
モヤモヤする気持ちが分からないまま、隠れ家がある酒場へアカリとやって来た。
当然。
俺はこの酒場の中のカジノの奥に、夢の配達人の隠れ家がある事を知っている。
上手い具合に隠れ家の情報を掴んだフリをして、アカリを案内してやるつもりだった。