夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
……けど。
この日、アカリは朝から様子がおかしかった。
気にしないように装ってはいたが、俺とまともに顔を合わせようとしないアカリ。
笑顔も、ぎこちない。
そんなアカリが、カジノで高額を獲得した人物のランキングの中に俺の名前を見付けた。
”夢の配達人ヴァロン”ーー。
憧れの人物の名前を見付けて、すっかりご機嫌になったアカリは、その場でぴょんぴょん跳ねながら笑みをこぼした。
「本当に好きなんだね、ヴァロンの事」
「うん!当たり前だよ、大好きっ……!!」
夢の配達人ヴァロンに向けられた、最高の笑顔ーー。
俺の言葉に、可愛い笑顔で頷くアカリを見て……。俺は、堪らなく悔しくなった。