夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
目の前の自分より、”夢の配達人ヴァロン”がいいのか?
なんで、そんな可愛い笑顔するんだ?
って、思った。
目の前の”今の俺”を見てほしくて……。
俺は、俺自身に、嫉妬した。
「……。
僕よりも、好き?」
「……。え……っ?」
目を見開いて、アカリがこっちを見る。
彼女の反応に「馬鹿な質問をしてしまった」と、悟ったその直後。
愚かな問いの後ろめたさから、俺はアカリの傍を離れてしまった。
俺は、何を言ってるんだ?
格好悪くて、もう最低で……。
どんな顔でアカリの元に戻ればいいのか、分からなかった。
でも、昼間とはいえ仮にも酒場。
女の子を長時間一人にしておく訳には行かない。
俺は自分の両頬をパンパンと叩くと、すぐに気持ちを切り替えてアカリの元に戻る事にした。