俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
情報源は、最初に麗とバーで待ち合わせしていたときに初めて会った女性。彼女はフードライターであり、関東から甲信越まで様々な飲食店を取材しているという、かなりアクティブで知識も豊富な人なのである。
その彼女とたまたまバーで再会し、なにげなく地元が新潟だという話をしたら、嬉しそうに話してくれたのだ。
『新しくできたリオンという洋食屋を見つけたんですが、とても美味しかったし地元の方々にも好評でしたよ』と。
耳を疑った。父の店と同じ名前の洋食屋が、同じ場所にできた……そんな偶然があるだろうか。
真っ先に頭に浮かんだのは、父の店を覚えていた人物がなんらかの目的で模倣しているのではないか、ということ。なぜそんなことをし始めたのかは謎だが、到底放っておける内容ではなかった。
俺にとっては父がいたあの洋食屋こそがリオンであり、他人が作った店など偽物にすぎない。もしもメニューまで真似されていたら黙っていられない。
とにかく実際に行って確かめてみようと、予定のない近日中に数年ぶりに地元へ向かうことにした。まだ俺の事情を打ち明けていなかった麗には野暮用だと告げ、家の用事を頼んで。
俺が帰るまで家で待っているよう頼んだのは、心にダメージを受けることを予想して、彼女の顔を見て癒されたかったからなのかもしれない、とあとになって思う。
その彼女とたまたまバーで再会し、なにげなく地元が新潟だという話をしたら、嬉しそうに話してくれたのだ。
『新しくできたリオンという洋食屋を見つけたんですが、とても美味しかったし地元の方々にも好評でしたよ』と。
耳を疑った。父の店と同じ名前の洋食屋が、同じ場所にできた……そんな偶然があるだろうか。
真っ先に頭に浮かんだのは、父の店を覚えていた人物がなんらかの目的で模倣しているのではないか、ということ。なぜそんなことをし始めたのかは謎だが、到底放っておける内容ではなかった。
俺にとっては父がいたあの洋食屋こそがリオンであり、他人が作った店など偽物にすぎない。もしもメニューまで真似されていたら黙っていられない。
とにかく実際に行って確かめてみようと、予定のない近日中に数年ぶりに地元へ向かうことにした。まだ俺の事情を打ち明けていなかった麗には野暮用だと告げ、家の用事を頼んで。
俺が帰るまで家で待っているよう頼んだのは、心にダメージを受けることを予想して、彼女の顔を見て癒されたかったからなのかもしれない、とあとになって思う。