俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
六本木駅で降り、交差点を渡ると、夜空にそびえるミッドタウンの明かりを眺めるより、目的のバーを探す。

なんとか迷わずにたどり着いたバー“B.friend”は、たくさんのショップやレストランで賑わう中、そこだけが入り口から落ち着いた雰囲気を漂わせていた。

ドアを開けると、地下へと繋がるムーディーな階段がある。そこを降り、さらに黒いドアを開けば、隠れ家のようなバーが迎えてくれた。

オレンジの明かりが優しく灯る薄暗い店内には、クラシックなL型のカウンターがあり、その向こうでオーナーらしき男性がシェーカーを振っている。

大人の空間って感じ……と、感嘆のため息を漏らして店内を見回せば、不破社長らしき男性が奥のほうのカウンター席に座っているのがわかった。

彼を見つけてホッとしたのもつかの間、左隣に髪の長いスレンダーな女性が座っていることに気づき、歩み寄ろうとした足を止める。

あ、あれ? もしかして、今夜誘われたのって私だけじゃなかった?

戸惑い立ち尽くしていると、私の気配に気づいたのか、女性が振り返った。それにつられて、社長もこちらを向く。

ドキリとして反射的に会釈すると、女性はおもむろに腰を上げながら彼に声をかける。

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