不覚にもアイツにときめいた
(ふー…やっと食えた。うっ…気持ちわりぃ…。)

だけどその姿を見せる訳には行かない。

「皆さん、有り難うございました。ちょっと俺お手洗い行ってきますね。」


女子社員に作り笑顔をし、俺はその場から離れた。

(…ったく、どんだけ作ってんだよ。食えねーって)

「はあ…。」

作り笑いも若干疲れるな…。

歩いていたその時、食材を抱える田中の姿が見えた。


(…あれは田中?また一人かよ…。)


その時、田中が石に躓いた。



(…何やってんだよ。)


俺は田中の方へ向かい、上から食材を取り上げた。


「何やってんだよ。」



「遠藤!…さん。」


田中はびっくりしていたのか声が患っていた。


「一人で取りに行ってたのかよ。」


(何でよりによって遠藤…。)


「…別にこれぐらい一人で持てますから。」


…相変わらずの意地っ張り。


「のわりにはコケかけたじゃん。」



「…コケてないですから。」



そう言って田中はむきになっていた。



「田中ってさー案外ドジだよな。」


思わず俺は口に出していた。

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