私の好きな警察官(ひと)!
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って、思ってたのに。
「だから言ったろ」
「だって、あんな……あんなにリアルな」
「確かにすげぇリアリティだったな。さすが人気なだけある」
ククッと隣で肩を揺らして、もう化粧ガン崩れしたんじゃないの?ってくらいボロボロと泣きわめく私を笑うのは、ホラー好きの蓮見さん。
必死に怖いシーンは見ないように目を伏せたり、顔を背けたり、耳を塞いだり、蓮見さんを盗み見ていたのに。
そんな私に気付いた蓮見さんは、
『いつまで目伏せてんだよ、見てみろ。もう怖くねぇから』
なんて、私の頭をポンポンと軽く撫でた。
蓮見さんの甘い声に酔わされて簡単にスクリーンへ視線を戻した私は
『ぎゃぁぁああぁああぁ!!!!!!』
多分、今日の観客の中で一番いい客だったと思う。
「もう、ほんっとやだ。蓮見さんの意地悪」
「怖くねぇって言ってたくせに」
「……なんか、蓮見さんってもっとすっごい大人な男なのかと思ってたけど、実は生田たちと変わらないんじゃないですか?」
ムスッとしたまま前だけ見据えて、蓮見さんに嫌味を言えば
「あ?俺をあんなちんちくりんと一緒にすんじゃねぇ」
ワントーン下がった蓮見さんの声にゾワッと背筋が凍った。
そんな怒らなくても、ジョークですよ。
「ポリスメンジョークです」
「お前は警官じゃねぇだろ」
あ、そっか。と笑って見せればアホと一蹴される。
あー本当に隣に蓮見さんがいる、幸せすぎる。
「ね、蓮見さん。今日、お風呂1人で入れなかったら、一緒に入ってくれます?」
「胸にシリコン詰めてから出直せ」
……手厳しすぎますって、蓮見さん。