私の好きな警察官(ひと)!

人並みにあると思っていた胸も、蓮見さんの好みには程遠かったということか。


ワンピースの上から自分の胸を眺めて溜息を零し、



「どーする?」

「へ?」


蓮見さんからの質問に、あほ面全開で顔を上げた。



「この後だよ、このまま帰るか?それとも」


「……それとも?」



てっきり、映画を口実に誘い出したから、映画を観たら解散するんだとばかり思っていた。
まさか『この後』があるなんて、夢にも思ってなかった私は蓮見さんの顔を見つめてキラキラの瞳で聞き返す。



「昼飯でも食いに行くか」


「……っ!い、行きます!」



〜〜〜〜!!!!

やったぁ!!!蓮見さんとランチ!!!
まだ一緒にいられる!幸せすぎやしないか香恵!



「つっても、この時間じゃどこも混んでそうだけどな」


蓮見さんの言葉にスマホで時間を確認すれば、もうすぐ13時を迎える頃。



確かに、お昼時でどのお店も混んでそう。
でも、蓮見さんとだったらファーストフードだって、何だっていいんですよ。何を食べるかじゃなくて、誰と食べるかが重要だってよく言うじゃないですか。



そんなことを思いながら、やっぱりニヤニヤと鼻の下を伸ばしてしまう私は女子としてどうなのだろう。伸びるな鼻の下!



ゾロゾロと同じ時間に映画を観終わった人達の流れに身を任せて歩いている私たち。お昼時と言うこともあって、映画館も人がグンと減ったように感じる。


そのせいだろうか、来た時のように手は繋いでもらえない。


『迷子になられたら困んだよ』


あの時の言葉を思い出してはキュンとしてしまう私は、今も右手に蓮見さんのひんやり冷たい手の感覚が残っている。
< 57 / 88 >

この作品をシェア

pagetop