異世界で、なんちゃって王宮ナースになりました。
「ただ、私も村長として村人を守る責任があります。ですから一晩だけ、それなら村の東に空き家がありますから使ってください」
折れてくれた村長に胸が熱くなる。シェイド様と顔を見合わせて笑みを交わすと、一緒に頭を下げた。
「ありがとうございます、村長」
「このシェイド・エヴィテオール、あなたから受けた恩は生涯忘れません」
何度もお礼を言う私たちに村長はぎこちなく笑って、寝床だけでなくわずかながら食べ物まで用意してくれた。
私は空き家に寝かせた負傷者の手当てをするために近くの森に薬草を取りに行き、井戸水で包帯代わりの布を洗うという行動を繰り返していた。
この世界に来て知ったのだが、破傷風には葱の白根と茄子を煎じて幹部に温湿布するといいのだとか。
採ってきた薬草がどんな傷や病に効くのかがわからないというのは不便だし、医療に携わる者として無知は職務怠慢だと思っている。落ち着いたらでいいので、この世界の薬草学を学べないだろうか。
「若菜さん、破傷風の兵への処置、これで全員終わりました」
レンガ造りの殺風景な建物の中で横たわっている負傷兵たちを見ながら考え事をしていると、マルクがそばにやってくる。
今シェイド様や他の騎士たちは見回りに出ており、この建物の中にいるのは負傷した兵や治療師だけだった。
「よかった、マルクも少し休んで――」
言いかけた私の言葉は「誰か!」という切羽詰まった声に遮られる。家の入口を振り返ると、青ざめた顔をした村人の男性が立っていた。
「どうしましたか?」
慌てている村人に駆け寄ると、そのまま手首を掴まれた。
「うちの子を助けてくれ!」
そう叫んで駆け出した村人に引きずらるようにして、私はどこかへ連れていかれる。村の中を走っていると、井戸の前に人だかりができていた。
「治療師の方を呼んできたぞ!」
私の手を引く男性の声に人が左右に避けていき、道ができる。その向こうには右足をおさえてしゃがみ込んでいる六歳くらいの男の子がいた。
「足、見せてくれる?」
男の子の前に膝をついて、その手を外させる。そこには赤い斑点がふたつあり、なにかに噛まれた痕だとすぐにわかった。
折れてくれた村長に胸が熱くなる。シェイド様と顔を見合わせて笑みを交わすと、一緒に頭を下げた。
「ありがとうございます、村長」
「このシェイド・エヴィテオール、あなたから受けた恩は生涯忘れません」
何度もお礼を言う私たちに村長はぎこちなく笑って、寝床だけでなくわずかながら食べ物まで用意してくれた。
私は空き家に寝かせた負傷者の手当てをするために近くの森に薬草を取りに行き、井戸水で包帯代わりの布を洗うという行動を繰り返していた。
この世界に来て知ったのだが、破傷風には葱の白根と茄子を煎じて幹部に温湿布するといいのだとか。
採ってきた薬草がどんな傷や病に効くのかがわからないというのは不便だし、医療に携わる者として無知は職務怠慢だと思っている。落ち着いたらでいいので、この世界の薬草学を学べないだろうか。
「若菜さん、破傷風の兵への処置、これで全員終わりました」
レンガ造りの殺風景な建物の中で横たわっている負傷兵たちを見ながら考え事をしていると、マルクがそばにやってくる。
今シェイド様や他の騎士たちは見回りに出ており、この建物の中にいるのは負傷した兵や治療師だけだった。
「よかった、マルクも少し休んで――」
言いかけた私の言葉は「誰か!」という切羽詰まった声に遮られる。家の入口を振り返ると、青ざめた顔をした村人の男性が立っていた。
「どうしましたか?」
慌てている村人に駆け寄ると、そのまま手首を掴まれた。
「うちの子を助けてくれ!」
そう叫んで駆け出した村人に引きずらるようにして、私はどこかへ連れていかれる。村の中を走っていると、井戸の前に人だかりができていた。
「治療師の方を呼んできたぞ!」
私の手を引く男性の声に人が左右に避けていき、道ができる。その向こうには右足をおさえてしゃがみ込んでいる六歳くらいの男の子がいた。
「足、見せてくれる?」
男の子の前に膝をついて、その手を外させる。そこには赤い斑点がふたつあり、なにかに噛まれた痕だとすぐにわかった。