憧れの彼と、イイ仲になりたいんです!
「それでちゃんと謝ったの?」


テルちゃんは原田を問いただしてる。
彼は彼女を振り向いて「謝ったよ」と教え、「な?」と私の方に目を向けた。


「うん。ちゃんと謝ってくれた」


テルちゃんの目を見て言うと、彼女は安堵した様に胸に手を置いた。


「……良かった。私、ずっと責任を感じてたんです」


あの夏休みの日以来、テルちゃんはその責任の重さから私に声をかけなくなった。

卒業する時も辛そうな眼差しで見送られ、だから話をするのも実はあの夏休み以来で__。



「……あのさ、まだ話するなら俺はビール買いに行ってくるけど」


業を煮やしたらしい坂巻さんの声が聞こえ、ハッとして彼を見遣った。
半ば仏頂面でつまらなさそうな表情の彼に気づき、ヒヤリと背中に汗を感じる。


「…あ、あの、もう話は済んだので」


二人を振り返り、「じゃあまた」と声を発した。
二人も笑いながら「また」と答え、私は坂巻さんに「すみません」と謝った。



「君は俺には謝ってばかりだな」


不機嫌そうな声でそう言うと、坂巻さんはさっと踵を返して歩き出した。

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