憧れの彼と、イイ仲になりたいんです!
言葉を言い出せずに口を噤んだ。
坂巻さんは口の開かない私を見つめ、渋い表情に変わった。


「俺ってそんなに信用ないのかな?話しても貰えないなら聞くんじゃなかったな、ごめん」


プイッと真横を向いてしまう。
私は彼の態度にズキンと胸が痛んで、目を見開いたまま彼の横顔を窺った。


坂巻さんは渋い表情のまま目を伏せていた。

折角この花火大会に連れてきて貰ったのに、私が変な意地を張ってしまった所為で彼を怒らせてしまってる。

雰囲気まで悪くさせて溜息を吐かせ、聞き難いことを聞かせてしまったのも、全部自分の所為なのに__。



「すみません…」


肩を竦めて目線を下に向けると、大きな息を吐く声が聞こえる。


「はぁ…」


呆れたような声が胸にグサリと突き刺さり、それでも黙ってちゃいけないと気持ちを奮い立たせて顔を上げた。



「……私、中学時代にクラスメートの女子から無視されてたんです」


思いきって言うと、横を向いてる彼の顔が向き直った。
私はその顔を見て笑みを作り、少し強がった言い方をした。


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