憧れの彼と、イイ仲になりたいんです!
私が俯くと坂巻さんはそっと手を取った。
家の方向は?と訊ね返し、ちらっと目線を坂道の上に向けると歩き出す。



「……俺さ、実はさっきからずっと落ち込んでたんだよ」


急に言い出した言葉に驚いて顔を上げると、こっちを見下ろしてる彼は、少し情けない表情をして見せた。


「君に失恋したのかなぁ…って。そう思うと歯痒くもあってさ。
花火大会からの帰りに素っ気ない態度をとってしまったのも、それでなんだ。

君から欲しいと思う言葉は一つだけだった。
だから、それとは違う種類の言葉なんて、聞きたくないと思って拒否したんだ。

…だけど、それって子供染みてるよな。帰りながら反省はしてたんだけど、なかなか謝るタイミングが難しくて」


それで今になった…と話す彼は、歩くのをやめて名前を呼んだ。


「諸住さん」


呼ばれた私は恐る恐る顔を見上げる。
いつもは自信満々そうな彼が、少し頼りなさげに見える。

そして、その口先から漏れてきた言葉は……


「俺のこと、嫌いになったろ?」


自分は心が狭いから…と意外な告白もして、はは…と虚しそうに笑う。


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