憧れの彼と、イイ仲になりたいんです！
（明日、出社したら今夜のことを揶揄ってやろう。彼女のことをどんな風に思ってるのか、直接本人から聞いてやる）


遊びならやめておけと釘を刺すか。

あの子は一時的な遊び相手には向かない…とキッパリ教え込んどいてやろう＿＿。




そして翌日、俺は驚くべきものを目にした。

大きな声を出すのですら聞いたこともないあの子が、本気で怒っている姿を今日初めてこの目で見たんだ。


こっそりと隙間から覗くと、頬を真っ赤に染め、ぎゅっと唇を噛んでいた。

握られた拳には力が入っているのか赤くて、ブルブルと小刻みに震えている。


なのに、女狐達はそれを見て笑い、彼女に脅迫めいた言葉を投げかける。

それでもめけずに彼女は言い返して、最後はとうとう「放っといて！」と怒鳴り付けた。



（ほぉ。なかなかどうしてやるじゃないか）


感心しきりな俺とは違い、一緒にいる男は冷静にはなれないらしい。

我慢しきれずに立ち上がると階段の方に足を向け、一気に駆け降りようとした。



「此処にいろ」


冗談じゃない。
ここは俺の見せ場だろ。

< 197 / 206 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop