憧れの彼と、イイ仲になりたいんです!
「いいんだよ。俺は別に怒って言ってる訳じゃないんだ」


資料を重ね、「はい終わり」と言う彼は、やっと残業が済んだことにホッとしているようだった。
私はパソコンの電源を落とし、自分もやれやれ…と肩の力を抜いた。


「もうこんな時間だけど軽く何か食べよう。諸住さんは何が好き?俺は別に好き嫌いはないんだけど」


でも、流石にコテコテのラーメンはきついよな、と笑ってる。
そんなの私でも無理だけど、彼は本気で誘っているんだろうか。


「あの…」

「ん?」


本当に行くんですか?という声を飲み込む。
彼が何となく疲れているようにも見えて、それはやはり自分の所為だと感じたから。


声はかけたけど押し黙る。
謝ればきっとまた呆れられてしまう。
呆れられて理由を聞かれても、とり越し苦労だと言われてしまうと身も蓋もない。


(難しい)


男性と話すのってこんなに難しいことだったっけ。
前はもっと気軽に話せてた様に思うんだけど。


(…とは言っても、それは中学時代までの話だけど)


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