憧れの彼と、イイ仲になりたいんです!
間もなくして部署に戻ってきた彼を、私はやはり見ることが出来なかった。
黙々とディスプレーだけに目を向け、ブラインドタッチの練習でもしてるかのような感じで指を動かす。

何度も打ち間違えてはバックキーを使い、また打ち替えては間違えるの繰り返し。


(考えてみれば私の青春もこんな感じだった)


それは今も同じで、やはり積極的になったところで踏み止まることが起きて__。


(やっぱりあれは気紛れだったんだ。金曜日に話そうと言ったのも、きっとその場だけの気紛れ)


さっきの坂巻さんの様子がそうだと言ってる。
アッサリとし過ぎていて、クールでとても冷たかった。



(私が言いたいこと、全部言えなかったな…)


悄気ながら時折泣きそうになるのを我慢する。
流石に落ち込みが酷過ぎて髪を捻るクセも出ず、終業時間まで働き詰めた。



水曜日からの私は、気分も変えて仕事にのめり込んだ。
もう上座の彼を見るのもやめようと決め、目を向けそうになると意識的に他所へ視線を向けて回避した。

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