憧れの彼と、イイ仲になりたいんです!
坂巻さんは相変わらず部署の女性陣に捕まっては会話をし、楽しそうに笑う女子達の声は高らかに部署内に広がっていく。


(でも、もうそんなの自分には関係ないから)


いいなぁ…と見遣るだけの日々は終えるんだ。
此処ではひたすら真面目に仕事をして、さっさとやることだけやって家に帰る。


そう思って無理やりのように仕事をした。
どんなに急な頼まれ事をされても、嫌な顔一つしないで引き受けてた。


そして、金曜日が来て__。




「…ねぇ、諸住さん、今日何か用事ある?」


この間と同じように斜め前の席に座る先輩が問いかけてくる。
私は目を向け、別に何も…と答えかけたが……。


(あ…そうか。…でも、あれはもう関係ないんだ…)


一瞬頭の端に浮かんだ約束事を振り切る。
別に何もないです…と言うと、先輩は安堵しような表情に変わり。


「あのね…この仕事、月曜日の朝一までに…と頼まれてるんだけど、実は私、今日は母と買い物に行く約束があって、残業が出来なくて…」


今日はお母さんと約束…。
よくもまあ、次から次へと用事があるもんだ。


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