憧れの彼と、イイ仲になりたいんです!
ドキッ!と心臓が加速する。
心の中で(離して~!)と叫びながら、私達は露店の前を練り歩いた。


私の目線は常に下向きだった。
彼の踵を見つめたまま、上の空で歩いていた。

上を向ける訳がないんだ。
だって、顔を上げたらきっと、彼を振り返って見る女性達の視線に気づくから。


その度に自分が惨めな気分になると分かってる。
だから、話しかけれても上を向けなくて__。


「…ねぇ、諸住さん」


流石に何を言っても生返事な私に飽きたらしい。
坂巻さんは立ち止まると振り返り、覗き込むようにして訊いてきた。


「何か食べようか。たこ焼きとかかき氷とか。…あ、さっき焼き鳥もあったな」


しまった、ビールが飲めない!と思い出したように呟く彼に、小さく笑ってしまう。
それを見ると彼もホッとした表情に変わり、自分が適当に何か買ってくると言いだした。


「君は此処で待ってて。嫌いなものは何かある?」


「いいえ」と言うと、その場に置いていかれた。
心許ないと思うけど、やはりホッとしてる自分を感じる。

それでも暫く待ってるとやはり心細くなってしまい、彼が行った方向へと目を向けた。

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