憧れの彼と、イイ仲になりたいんです!
だから、きゅっと唇を噛んで我慢した。
今この場を切り抜けてしまえば、後は彼に帰ろうと言える。

帰ったら幾らでも泣けるし、私みたいなのが大それたことをしたと反省も出来る。だから……


「……あのさ、俺、何のことだかサッパリ分からないんだけど」


側にいた彼は、するりと私の前に立ちはだかり、すっぽりと背中で私のことを隠した。
そして、幾分怒ったような口調で言い渡した。


「この人に告ったのは俺の方だから。だから、余計な詮索するのやめてくれる?聞いてて気分悪いよ」


どうも彼女達を睨み付けているみたい。
グループの女子達は急速に勢いを無くし、「行こう」と言って歩きだした。



(…ほっ)


その足音を背中に隠されたまま聞いた。
もう二度と彼女達には会いたくないと思い、安堵もしたけど不安も募った。

今の彼女達の言葉を坂巻さんはどう受け止めたのか。
どういうつもりであんな言い方をして、どうして私を庇ってくれたのか……。



「何だよ、あいつら」


苦々しい声がして顔を上げる。
振り返った彼は私を見下ろし、大丈夫か?と訊いてきた。


< 99 / 206 >

この作品をシェア

pagetop