生徒会長は女の子が苦手です
バトンの受け渡しが本当に苦手で、バトンの受け渡しで3人に抜かされてめちゃくちゃ走って5人抜きして1位、なんてよくある話。


バトン本当に苦手。


「俺の前誰かな?」


「伊織の前は俺でーす!」


そう言って俺の背後から飛びついてきたのはまたもや裕樹。


「裕樹かよ」


「え、俺だよ?俺も走るの速いよ?走るのだけだよ?


球技できないからね」


べしべしと俺の方を殴る殴る。


「痛いよ」


「知ってるよ」


「知ってるならやるなよ」


俺は苦笑いして、裕樹が持っていたバトンを貰う。


「うちのクラスのバトン赤なの?」


「赤なの」


「へー」


「てか、伊織生徒会なんだから知ってるだろ」


「んー、全部南さんに任せてるから、俺何にもしてないや」


「うわぁ、会長のくせにぃ」


若干引いた目つきで俺のことを見てくる裕樹。


仕方ない。


七瀬がなんでもしてくれるんだから、俺は何もしない。


七瀬だけで2人分以上の仕事をしてくれているから、どうしても甘えてしまうんだよね。


うん。ごめんなさい。



「今度からちゃんと働くよ、多分」


「…七瀬も大変だな」


「そうだと思う」



そんな会話をしてから、練習をした。
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