生徒会長は女の子が苦手です
「あ、石原。どーぞ」


見知らぬ三年生に名前を当てられ少し驚いたが、自分が生徒会長だったことを忘れていた。



「伊織告られたのか?」



南京錠をガチャガチャと開けていると、後ろから裕樹が肩を叩いた。


「なんでわかった…?」


「目赤いし、鼻声だから。ティッシュやろうか?」


「頂戴」


裕樹にティッシュをもらって、グラウンドを解放してから端っこで鼻をかむ。


顔を上げて、グラウンドを見渡すと、俺のクラスは一番奥だった。


遠いな…。


自分のクラスの場所まで全力疾走。


「あ、石原くん。障害物競走のルールを確認してもらってもいいですか?」


「…あぁ、わかった」


到着してすぐ、黒瀬にルールの確認を迫られる。


なかなか疲れた…。


無駄じゃないけど無駄に分厚いファイルを開いて障害物競走のルールプリントを見る。


めんどくさくなって黒瀬に渡した。


「あげる」


「…あぁ、ありがとう」



七瀬がいないとやる気でない。


「石原くん。あそこで選抜リレーと100メートル走の練習をしているから行ってください」


「はーい」



運動神経がいいからという理由で、走る競技に駆り出される俺。


実際、現在この学校の100メートル走の記録保持者は俺だったりする。


だから早いのは確かなんだけど…。


リレー苦手なんだよなぁ…。
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