生徒会長は女の子が苦手です
俺は、レースだしそもそもただの生徒会メンバーだから駆け寄ることができないと思いあぐねていると、七瀬に抜かされた陸上部の女の子が七瀬に手を差し伸べる。


「七瀬先輩おめでとうございます。


怪我、大丈夫ですか?支えるので保健テント行きましょ?」


「あ、ありがとう。えっとー、里穂ちゃんだったよね」


「名前、覚えててくれたんですね」


「もちろんですよ?」



とりあえず、一安心。


ていうかリホって聞いたことあるなぁ…。


あ、このあいだの女の子か…。


七瀬は1年生に体を支えられ立ち上がった。


そして七瀬は去り際に俺の方を振り返って口パクで「頑張って」と言って去って行った。


これは、頑張るしかないな。


裕樹に言われても全然全くやる気出なかったのに、七瀬に言われたらこんなにも変わるのか。


俺ほんと、重症だな…。



そんなことを思いながら、レーンにつく。



『位置について、よーい』



ピストルの合図とともに走り出す。



すぐに前には陸上部1人だけになった。


それでも俺の本気に勝てるはずがない、という謎の自信を追いかけるように1着でゴールした。



『男子100メートル走1位、石原伊織』



グラウンドが大歓声に包まれる。


そして、放送が続く。
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