【完】武藤くんって甘くない
このまま外に出るのがなんだか惜しくて、つい甘えてしまった。



武藤くんの反応なんて考えもせず。



「……するかよ」



わかってはいたけど!



やっぱりなぁ。



もう今日を逃したら、いつ抱きしめてもらえるかわからない。



なんだかあたしばっかり思っていて空回り?



ちょっと寂しいな。



それでもめげずに武藤くんの服の裾を引っ張る。



そうしたら武藤くんがくるりと振り返った。



「ほら」



ええっ!?



両手を広げてウエルカムな体勢だよ。



しつこく言ったから、根負けした?



けどっ、待ち構えられると…緊張しちゃう。



「あ…えっと」



それにあたしも、こういうのに慣れていないから…なんだか無性に恥ずかしくなってきた。





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