【完】武藤くんって甘くない
これ、あたしのじゃなくて…武藤くんのだ。



緊張してるの?



そう思ったらますます嬉しくなる。



「武藤くんっ…好き」



背中に腕を回し、思いっきり力をこめる。



返事はないけれど、抱きしめられたままだからあたしと同じ気持ちだと思ってもいい?



「行くぞ、ほら」



軽く突き放されるようにして押される。



わあっ、やっぱり調子に乗りすぎた。



いい雰囲気だったのになぁ。



部屋を出るときに、前を歩いている武藤くんの背中をしみじみと見つめる。



あー、うしろ姿も素敵だぁ。



信じられないけど、本当にあたしの部屋に来てくれたんだね。



「もう一回、ギュッとしたいな」


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