すべては、
視線さえ下げなければなんとかなるか。


「やっぱり先輩優しいですね。そんな先輩が好きです。」



好きか…

こいつはずっと俺のことを好きだと言うが…

だが…

あの夜のことが俺の脳裏を掠めた。

仕事だとしても、木下に…



「お前…俺のこと好きだと言っておきながら、誰でも感じるんだな。」


「先輩酷いです…」



泣きそうになる彼女を見て、俺はハッとした。



実里を傷つけてしまった…



それはそうだ。こんなこと言われたら誰だって傷つく。



「私だって、好きでそうなったわけじゃ…」



分かっていただろ、そんなこと。
俺は嫉妬していただけだ。
それを八つ当たりみたいに…



「悪い…」



俺は直ぐ傍で見ていた。
実里の頑張りを。
褒めてやるべきなのに、それなのに俺は傷つけた。なんて酷い奴なんだ俺は…
実里…
どうか俺を許してくれ…



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