腹黒上司が実は激甘だった件について。
簡単だけど、まあ朝御飯なんてこんなもんでいいよね。
二人分の準備をして洗い物も済ませて、坪内さんを待っていたけど、全然起きてこない。
もしかして先に家を出たってことはないよね?

心配になってそっとベッドまで見に行くと、坪内さんは大爆睡中だった。
えー、めっちゃ寝てるんですけど。
近付いても全く起きない。

睫毛長いな。
髪の毛サラサラだな。

無防備過ぎる綺麗な寝顔に見とれてしまった。
坪内さんの寝顔を見ることができるなんて、貴重な体験だ。
世の女子が羨ましがるに違いない。

って、そんな悠長なことを考えている場合か。
そろそろ起きないとご飯食べる時間がなくなっちゃうよ。
せっかく作ったのに!

「坪内さん、起きてください。坪内さーん。」

ゆさゆさと起こすと、うっすらと目が開く。
坪内さんは私を認識したかと思うと、寝惚け眼でオハヨと言った。

その可愛らしさに、胸がきゅんとなる。
イケメンって寝起きすらイケメンなのか。
普段とのギャップ萌がすごい。
ヤバい。

「お、おはようございます…。」

坪内さんは、ぎこちない挨拶をする私の手首を掴んで、自分の方に引き寄せた。
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