腹黒上司が実は激甘だった件について。
結局ドライヤーの音を聞き付けて、坪内さんは勝手に洗面台に乱入してきた。
私からドライヤーを奪うと、昨日と同じように髪を乾かしてくれる。

強引だなー。
でも嫌じゃないんだよね。
坪内さんに頭を触られるのが心地よい。
すっごく優しくて気持ちよくて、ふわふわした気持ちになってしまう。

「髪の毛おろしてる秋山も、いいな。可愛い。」

鏡越しに言われて、とたんに頬が熱くなった。
仕事中はひとつにまとめているから、おろしている姿は珍しいよね。
てか、せっかくお風呂に入ったのに、坪内さんのせいでまた変な汗をかいてしまう。

「も、もう、冗談はやめてください。」
「照れるなよ。」

坪内さんは笑いながら、乾かした髪を手ぐしで整えてくれる。
さながら頭を撫でられているみたいでドキドキした。

「は、早くお風呂入ってくださいよ。お湯が冷めてしまいます。」
「はいはい、わかったよ。」

私の小言に坪内さんは苦笑しながら、今度は本当に頭を撫でる。
私は紅くなる頬を隠すように、慌ててリビングへ戻った。
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