古都奈良の和カフェあじさい堂花暦
「何でいうことがあるかいな。久しぶりに帰ってきたんやもの。挨拶に行くのが当たり前やろ」
「それはそうかもしれないけど、何も明日行かなくても」
「こういうのは早い方がいいんや。人づてに妙な話が伝わったりせんうちにはよう行っといで」
笹山のお祖母ちゃんというのは私の父方の祖母である。
つまり母にとっては姑にあたる。
この祖母という人が私は昔から苦手だった。
元は大阪天満の大店のお嬢さんだったという人で、お茶、お花、着付けにお琴など、一通りのことを娘時代のお稽古で身につけていて、今は自宅で茶道のお教室を開いている。
私や従姉妹たちも幼い頃からお稽古に通わされた。
古風で厳しいというわけではない。
むしろ、昔の人にしてはさばけているというかある意味、うちの母などよりずっと進歩的な考えの人だったがそういった部分も含めて私はこの祖母の前にでるといつも萎縮するというか、ただでさえあまりない自信がよけいになくなって小さく縮こまってしまうような気がしていた。
そんなわけで、私は中学に入った頃からだんだん行かなくなってしまったけれど、高校で茶道部だったという沙代里ちゃんは弟と結婚したのをきっかけに祖母のもとへ通い始めて、奈江ちゃんが生まれたあともお稽古を続けているらしい。
つくづく、母にとって理想的な女の子と弟は結婚したものである。
まさかそれで選んだわけでもないだろうけど。
「それはそうかもしれないけど、何も明日行かなくても」
「こういうのは早い方がいいんや。人づてに妙な話が伝わったりせんうちにはよう行っといで」
笹山のお祖母ちゃんというのは私の父方の祖母である。
つまり母にとっては姑にあたる。
この祖母という人が私は昔から苦手だった。
元は大阪天満の大店のお嬢さんだったという人で、お茶、お花、着付けにお琴など、一通りのことを娘時代のお稽古で身につけていて、今は自宅で茶道のお教室を開いている。
私や従姉妹たちも幼い頃からお稽古に通わされた。
古風で厳しいというわけではない。
むしろ、昔の人にしてはさばけているというかある意味、うちの母などよりずっと進歩的な考えの人だったがそういった部分も含めて私はこの祖母の前にでるといつも萎縮するというか、ただでさえあまりない自信がよけいになくなって小さく縮こまってしまうような気がしていた。
そんなわけで、私は中学に入った頃からだんだん行かなくなってしまったけれど、高校で茶道部だったという沙代里ちゃんは弟と結婚したのをきっかけに祖母のもとへ通い始めて、奈江ちゃんが生まれたあともお稽古を続けているらしい。
つくづく、母にとって理想的な女の子と弟は結婚したものである。
まさかそれで選んだわけでもないだろうけど。