さようなら
電話がかかってきた。
二宮さん……じゃないな
まさか、捜査一課の人間とぶつかるなんて……‥可愛い人だったな。

「はい。」

「寵だ。Akiわかってるだろうな。」

「言わずとも。準備はしています。」

「なら、いいんだ。くだらないことに興味をもつな。仕事に支障をきたす。」

くだらないこと…‥二宮さんのことだろうか。

「大丈夫です。転がすだけ転がして利用するだけです。では、また」


蛇の寵氏。あいつは俺を利用するだけして立場が上になったとたん、日系の俺を切り捨てるだろう。今は俺を利用しているだけ。みえみえなんだな…‥口に自然と嗤いがこぼれる


また電話だ。なんだ?他にも用件があるのか…‥


「はい。神崎。」
「あっ、神崎さんですか?今朝言ってたご飯どうですか?」

二宮さんのこえだ…‥ホッとする。なんだろう。居心地がいい。

「あの…‥やっぱり都合悪いですか?」
「あ、いえいえ。ただ嬉しいなって」

電話の向こうで照れていることが想像できる。可愛い人だな…‥

「じゃあ駅前で待ち合わせましょう。何時がいいですか?」

「僕はいつでも…‥今からでもいいですよ。」

「あ、…じゃあ駅前でまた。楽しみです。」

二宮さんは、んふふ。と笑って電話を切った。

駅前か…スッゴク近いな。わざと道に迷うか…

んふふ。さて、どうするか…
俺は嗤いながらゆっくりと裏の路地に入った。
< 6 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop