リトルガーデン~愛溢れる場所~
次に折れたのはシロップだった。

しかも強烈にあきひろになついた。

あきひろにほれこんでいるといった様子で、あきひろが来るともう喜びすぎて気が違ったようになってしまい、さすがにわたしはやきもちをやいた。

しかし、やがて、こんなに愛されるのにはわけがあると思って、じっと観察するようになった。

そうしてよく見ると、わたしの自分本意なかわいがり方と違って、あきひろはシロップに対してとても根気よく意志を通じ合わせようとしていた。

わたしがすぐにさぼってしまうブラッシングや、皮膚病の薬を塗ったり耳をそうじすることも、あきひろは驚くほど根気よく、ていねいにやった。

あきひろは人よりも犬のほうが好きなんだ、だからシロップもあきひろをすきなんだ、とわたしは結論を出した。

その観察が終わる頃にはわたしもすっかりあきひろにほれこんでいた。

こんな心がきれいでていねいに生きている男の子は他にいるまい、と、とても若いのにわたしは自分のほうの結論も出した。

それは結局今のところ変わっていない。

それはあきひろは今でも心がきれいだし、多少偏屈で内気だが、ていねいに生きているからだと思う。

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