リトルガーデン~愛溢れる場所~
わたしがどうしてあきひろにはお父さんとお母さんがいないのかを知ったのは、知り合ってずいぶんたってからだと思う。

そのかんかん照りの午後、いつもしないことをした。

あきひろの家にあきひろを呼びに行き、鍵が開いていたので勝手に玄関の中に入ったのだった。

おじいさんもあきひろもいないようだった。

外では太陽がギラギラ光っているというのに、廊下は真っ暗だった。

かび臭い匂いと、お香のまじった匂いがした。

その少し洋風な感じがある古い日本家屋は、とても天井が高かった。

光はすべて隙間から射していた。

そのせいで、夏が、生命の力が遠く感じられた。

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