硝子の花片
いつもの通学路いつもとは違う景色。
目の前は優しい桃色の花片でいっぱいになった。

「ああ、もう春かぁ」
私の口からはそんな言葉が呟かれていた。


今日は始業式。
緩やかな丘の上にあるこの高校も、この緩やかな坂道の通学路も3年目になった。

辺りは爽やかな風の音と桜の花の笑い声で埋め尽くされていた。

「おっはよう!桜夜たん!」

そう声をかけたのは友人の瑞奈だった。

彼女はいつでも元気な明るい女の子だ。
今日も茶色がかった肩くらいまである髪を二つ結びにして輝くばかりの笑顔を見せていた。

太陽くらい眩しいかもしれない…

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