硝子の花片
「…そんなこと…ない。」

不意に聞こえてきた声に私は肩を大きく揺らした。

「え、沖田さん起きてたんですか!?」

私はまた引き攣った笑顔で沖田さんの顔を見た。
沖田さんは笑ってない。真剣な表情でこちらを見ている。

…笑ってくれればいいのに。

「暖かかった。…言い様のない孤独な夢だった。誰も助けてはくれない、悲しい夢だった。そこに突然暖かい光が差した。
…貴女が、助けてくれた。」

私は逃げ出しそうになった。
私は何もしてない。私は考えるのをやめた。
沖田さんを助ける事を諦めた…。

私は、誰の助けにもならない。

どうしていいか、わからない。

平助くんの時もそうだ。
沖田さんを見て悲しそうにしてたのに何も声をかけれなかった、かけなかった!

「私は…助けてなんか…っ」

今にも自分への怒りで醜い顔で泣き出しそうだった私は沖田さんの隣から逃げ出そうと試みた。

しかし、それは阻止された。
< 27 / 105 >

この作品をシェア

pagetop