硝子の花片
「あれ、先客がいらっしゃいますね。珍しい」

突然、聞き覚えのない、中低音の透き通った声が背後から聞こえてきた。

「！？」

驚いて後ろを見やると、1人の中性的な人が立っていた。

その人は端正な顔立ちで、色が白く、ぱっちりとした二重まぶただった。一言で言うなら、綺麗な人だ。
さらさらな栗色の腰まである長い髪を頭頂部に近いところで結び、格好は落ち着いた色の羽織袴だ。
瞳は全てを見透かすような、澄んだ瞳をしていた。
背丈は思っているより高いが、小柄な為、少女のように華奢に見える。

どこか、儚く、雪のようで、悲しみを感じる人だ。


「ああ、驚かせてしまいましたか。すみません。」

その人は申し訳なさそうに微笑んだ。
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