硝子の花片
「あ、いえ…」

この人は本当に綺麗な人で、見ると緊張してしまうが、どこかで会ったような、懐かしいような、そんな不思議な感じがした。

「ここ、気持ちの良い場所ですよね。私は時々来るんです。」

その人は私の隣に並び、大きく息を吸った。

確かにこの桜の大木の下は心地が良かった。

「ところで、その格好は…?」

その人が私を凝視するので恥ずかしくなったが、数秒後、問いの意味が分かり、焦った。

この人は羽織袴。まるで昔の人のよう。
私は高校の制服のブレザーにスカート。
明らかに時代の差を感じる格好の違いだ。

「…すみません。少しお聞きしたいのですが…」
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