硝子の花片
第五章 我儘と悲劇
我儘と忍び寄る影
沖田side
「…けほっけほっ…けほ」
乾いた咳が部屋に響く。
(よかった、桜夜さんが居なくて。)
桜夜さんに、心配かけちゃうからな…
「…おい、総司。入るぞ」
聞きなれた低い声。…土方さんだ。
土方さんはいつも通りの疲れた表情で部屋に入ってきた。
「…お疲れ様です。土方さん。」
「お前もな。…どうだ?体の方は…」
やはりその事か。
「大丈夫ですよ?ただの風邪ですし」
風邪とは言っても、病には変わらないけど。
「…安静にしてろよ。お前が桜夜を心配してたようにあいつもお前を心配してるんだからな。池田屋の時も…」
土方さんは何かを思い出したかのように視線を宙に逸らすと、意地悪な笑みを浮かべた。
…土方さんがこの顔をする時は、ろくなことが無い。
「…お前、池田屋でなんで助かったか詳しく知りたいか?」
何を言い出すんだろう。この人は。
「…詳しくって…桜夜さんが水分不足ってのを土方さんにすぐ知らせたんでしたっけ。それが何か?」
「考えてみろ。意識の無い人間にどうやって水を与えるんだ?」
…は?
私は土方さんが伝えたい事がよく分からなかった。
こんなに土方さんが考えてる事が理解出来なかったのは初めてだ。
「…けほっけほっ…けほ」
乾いた咳が部屋に響く。
(よかった、桜夜さんが居なくて。)
桜夜さんに、心配かけちゃうからな…
「…おい、総司。入るぞ」
聞きなれた低い声。…土方さんだ。
土方さんはいつも通りの疲れた表情で部屋に入ってきた。
「…お疲れ様です。土方さん。」
「お前もな。…どうだ?体の方は…」
やはりその事か。
「大丈夫ですよ?ただの風邪ですし」
風邪とは言っても、病には変わらないけど。
「…安静にしてろよ。お前が桜夜を心配してたようにあいつもお前を心配してるんだからな。池田屋の時も…」
土方さんは何かを思い出したかのように視線を宙に逸らすと、意地悪な笑みを浮かべた。
…土方さんがこの顔をする時は、ろくなことが無い。
「…お前、池田屋でなんで助かったか詳しく知りたいか?」
何を言い出すんだろう。この人は。
「…詳しくって…桜夜さんが水分不足ってのを土方さんにすぐ知らせたんでしたっけ。それが何か?」
「考えてみろ。意識の無い人間にどうやって水を与えるんだ?」
…は?
私は土方さんが伝えたい事がよく分からなかった。
こんなに土方さんが考えてる事が理解出来なかったのは初めてだ。