硝子の花片
「ああ、いや、なんでもない。…できるだけあいつの傍に居てあげて。…はい、粥が冷めてまうからはよ、持ってく!!」

「あっ、はい!!」

(また話を逸らされた気がする…)

私は気になりつつも足を進めた。





「総司。お粥持ってきましたよー。」

「ありがとうございます。…あれ、なんか葱多くないですか?…これ作ったの、山崎さんですね…?」

総司は苦笑した。でも、食べなきゃいけないのは分かっているらしく、粥を受け取った。

そして少しの間、粥と睨めっこをして、匙を握ったかと思えば葱を避け始めた。

「…総司…?葱も食べてください?」

「えぇー…葱は、ちょっと…」

そう言って目をそらす。

(子供か…)

私より少し年上のはずなのに、というか出会ってこの時代では3年半経つんだから20は超えてるはずなのに、この有様。

そう無邪気なところが良いのだろうが、今回ばかりは仕方がない。病気を治す為だ。

「うぐっ!?」

私は総司の口に粥を突っ込んだ。

「食べてくれなきゃ困るんですよ!前よりとても痩せて…心配なんですからね!?」

「うぅ…わかったよ。自分で食べる。」

そう言って苦笑した時だった。

「けほけほ…こほっこほっ……っごほっごほ..」

総司が口を抑えて背中を丸めた。

「っ私が無理矢理粥突っ込んだから…大丈夫ですかっ!?」

「ち、違う…ごほっごほっ…っ」

総司は呼吸が出来ないくらい咳をこぼす



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