硝子の花片
沖田side

御陵衛士こと伊東甲子太郎一派は何を考えている…?

前線を退いているとはいえ、1番組の組長をしている私は、土方さんに呼ばれた。


「…伊東一派は近藤局長暗殺を企てているらしい。」

この報告には流石に他の組長もざわめいた。

そして土方さんの口から出た言葉。それは、私達試衛館からの人間には、凄く残酷な言葉だった。

「伊東甲子太郎、及び、御陵衛士を一掃する」

近藤さんは私達の頭。頭無しでは成り立たない。
近藤さんを殺そうとするものは、私達新撰組の敵。

敵は斬る。それだけ。

そう思ってたはずなのに、私には酷な事にも思えた。



一時期でも仲間だった人を手にかける。

正直、それは慣れてしまった。

局中法度に背く者を粛清してきたから。

でも…



「…平助は、どうなるんだよ…平助も、斬らなきゃいけないのか…?」

震えた声で言ったのは試衛館からの仲間、永倉新八。二番組組長で藤堂と親しい人だ。


…そうだ。藤堂さんが企んでいる訳では無いのに。
…私の、友達とも言える人なのに。



また、親しい人を亡くさなきゃいけないのか。



「…必要があれば、だ。」

土方さんのその言葉に皆納得した。
不器用だけど、その言葉の裏に(平助は斬らなくていい)という意味が隠されている。

私はどこかで安心した。

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