君が眠る時には
行かない人だっているのに、年齢を言っただけで高校生だと決めつけられる。
「高校生じゃない」
私が不機嫌さをあらわにしたからか、ただ単純に間違えたことを申し訳なく思っているか、その男性は焦ったように顔の前で両手を合わせて「ごめん」と言った。
その時に私の目に映ったのは、小指にしっかりとはめられているピンキーリング。
ハートの半分が刻まれていて、ペアリングなのだとすぐに分かった。
……なんだ、恋人いるんじゃん。
こんなお揃いのリング付けて遊び相手探すやつなんか、いないよね。
だったらこの人と一緒にいる時間は無駄だ。
「それよりなにか用ですか?
何も無いんだったら、私もう行くんで」
「まって!」
さっきとは全然違う少し大きな声に、驚いて足が止まった。
「なんですか?」