君が眠る時には

嬉しかった。ほんとに。


今まで生きてきた中で一番と言えるくらい嬉しかった。


好きな女に抱きしめられるのが、こんなにも幸せなことだとは思わなかった。


「体力がないから何?そんなのすぐつくよ。一緒に頑張ろう」


「雪」


止めようとして雪の名前を呼んでも、あいつは震えた声で俺を励まし続ける。


「病気なんかに負けないでよ。私がそばにいる」


ごめんな。


雪の人生狂わしちまって。


「ずっとそばにいて葵を支えるから。だから……」


ごめんな……。


「雪!!」


俺の声に怯んだ雪の肩を、強く押しのけて拒んだ。



雪の目が見れない。


見なくても想像つくよ、どんな顔してるかなんて。


「もう、いやなんだ。雪のそう言う励まし」
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