君が眠る時には

男性はそう言った。


あやしい……。


「だったら声掛けなければいいのに」


「君があまりにも魅力的だからつい、ね」


さすがに家に着いていくのはな…。


でも、


「奮発するから」


その言葉になだめられてしまった。


男性のあとについて行くと、細い路地に入り始めた。


あたりは真っ暗だし人もいない。


それに、この先には民家なんてなかった気がする。


だんだん怖くなってきた。


やばい、どうしよう。


今ならまだ帰れるかもしれない。


でも奮発するって言われちゃったしな……。


いや、だめだ。


今回は、自分の勘を信じよう。


「あの…」


念の為、男性から少し距離をとって話しかけた。


「ん?」


「この後友達と約束あったの忘れてて…」
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