はちみつドロップス
手を振って別れた二人が、窓越しに並んで歩いている。
少し前まで見ているだけで切なくなった後ろ姿を、今こんなにも落ち着いた気持ちで見つめている自分が信じられなかった。
自分の中であんなに心を大きく占めていた天よりも、もっと心を占めようとしている存在にやっと自覚した瞬間。
トントンと肩を叩かれて振り返ると、
「テスト、どうだった?」
ここ最近で随分見慣れた笑顔が、すぐ後ろに在った。
何も言わず、じっと自分を見下ろす涼希に涼姫は不思議そうに見つめている。
いつもは歯切れの良い涼希が、今日は何やら言い淀んでいるみたいで……涼姫は静かに言葉を待った。
「雄楽の兄貴……高原先輩に、天さんっていう彼女が居るんだ」
「……っ?」
唐突に話し始めた涼希に、驚いたように彼を見上げる。
その顔にいつものような穏やかさはなく、変わりに初めて見る真剣な顔がそこにあった。
「俺、天さんが好きだった」
少し前まで見ているだけで切なくなった後ろ姿を、今こんなにも落ち着いた気持ちで見つめている自分が信じられなかった。
自分の中であんなに心を大きく占めていた天よりも、もっと心を占めようとしている存在にやっと自覚した瞬間。
トントンと肩を叩かれて振り返ると、
「テスト、どうだった?」
ここ最近で随分見慣れた笑顔が、すぐ後ろに在った。
何も言わず、じっと自分を見下ろす涼希に涼姫は不思議そうに見つめている。
いつもは歯切れの良い涼希が、今日は何やら言い淀んでいるみたいで……涼姫は静かに言葉を待った。
「雄楽の兄貴……高原先輩に、天さんっていう彼女が居るんだ」
「……っ?」
唐突に話し始めた涼希に、驚いたように彼を見上げる。
その顔にいつものような穏やかさはなく、変わりに初めて見る真剣な顔がそこにあった。
「俺、天さんが好きだった」