はちみつドロップス

「じゃあ、がんばってね」



チーズケーキの焼き上がりを待たずして、四人は家庭科室を後にした。



後は修護と椎菜の問題。


余計な介入は不要だと判断。
放課後の廊下を並んで歩いていく……が、さっきからずっと不機嫌オーラ全開の皇楽に、天は小首を傾げている。



「高宮をずっと不安にさせてた罰が当たったんだよ」


「罰?」


笑顔で説明してくれる慶斗に尚更話は見えてこないらしく、天の頭の中は疑問符だらけになっていく。



「もう。また意地悪言って……ホント黒沢くんは性格悪いよねぇ。腹黒い」



「それって褒め言葉?」



後ろで爽やかに笑い合っているのに、何故か言い知れないどす黒い空気を感じて仕方無い。



「ちょっとお話しようか? 花井さん」


「付き合うわっ」


「…………」



声色は至って穏やかなのに、さっきから二人の目は一切笑っていなかった。



ただならぬ雰囲気にソワソワしていた天が隣を振り向けば、皇楽がマジマジとこちらを見つめている。



「んっ?」
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