暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
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重苦しい空気の中、私アニーナこと偽名アニ・テリジェフは不安そうな顔をしたスフィア様へ向けてゆっくりと口を開いた。
「伝えるのが遅くなりましたが私は、今日を以てスフィア様の侍女から外れる事になりました」
まるで何事も無かったかのような淡々としたその口調に、スフィア様は状況が呑み込めないと言ったようなご様子で苦笑いしていた。
「……えっと何の話?(笑)」
冗談と思っているみたいだ。
まぁ、まさか私の口からこのような話が出るなんて、思ってもいなかったのだろう。
私自信もこのような事を言う日が来た事を内心驚いている。