暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】


そして直ぐに宰相様が私の元へ来られた。

「ギャビンどうかしたのか?」

「あ、いえ。少し気になる事がありまして…」

「気になる事?」

その言葉に宰相様は首を傾げた。

「えぇ。これはあまり人に話した事がございませんが、私には4歳離れた妹がいたのです。しかし、急に姿を消しました。その時期は密売者が多々見られた頃でしたので、きっとさらわれ売られたのだという話になりましたが……珍しいものですね。同じ名がここにもいるなど………思い出させる」

そう言う表情はどことなく憂いを帯びていた。

「よくわからぬがそうなのだな。それは良いが陛下がそろそろ離宮に向かわれるそうだ」

「かしこまりました。準備致します」

そう返事を返して陛下の元へ向う。

まさか、こんな所に心のどこかで探し続けていた人がいるなんて思いもせずに。



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