暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】

不安な表情から一変、私は陛下に『安心して下さい』と言うかのように優しく微笑んで見せると、陛下は何だか困ったように苦笑をした。

「そなたが色々と気にする問題ではない。確かにその点も考えられたがその反対にこちらも良い人材を手に入れる事が出来たのだ。少なくとも……そなたは喜ぶのではないかと思うのだが」


「……私が喜ぶ人材ですか?」

クレハでなく私が喜ぶ……とは一体。ますます分からなくなってきた。

やはりあの一般の者が関係しているのかしら?

「……時間はまだあるな。今からその者をここへ呼び出そう」

「え!!?会っても良いのですか?」

クレハに頼んでも良い返事が貰えなかったというのに、こんなにあっさりと…。

「ファンにも小言を言われたのでな。それに、会うには良いタイミングだ」

「楽しみです!」

心の中でファン宰相様にお礼を言いながら、私はその者が来るまでの間陛下との会話を楽しんだ。


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