暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】


「誰か!!!ここにお医者様を!!!」

ダリアがそう叫ぶと外にいたメイド達がすぐさまお医者様を部屋に連れて来た。

ただちょっと気分が優れないだけなのに…………大げさな。

そう思いつつお医者様をジッと見つめると、すぐ側で診断をしていたお医者様は難しそうな顔をした。

その様子にダリアの表情が曇る。

「どう……なのですか!?」

答えを急かすようにダリアが声を上げる。

するとお医者様はゆっくりと口を開いた。

「………………お妃様。恐れ多くながら申し上げますが………










おめでとうございます。ご懐妊されておられます」

………………………………はい?

「今……なんと?」

お医者様の口から出た言葉に私とダリアは固まり、もう一度聞き返すと、

「ご懐妊されておられるのでございます。まだ妊娠初期でございますが、油断は禁物でございます。どうか無理はされずに安静にお願い致します」

お医者様はそれだけ伝えると、放心状態の私へお辞儀をして部屋から出て行った。


…………………え?


< 354 / 368 >

この作品をシェア

pagetop