暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
でも、ファン宰相様からそう言われた事が何だか嬉しくて、少しだけ笑みが溢れる。
「それはさておき、その浮かない表情をされている理由をお伺いしても宜しいでしょうか?」
「え?」
サニーと言いファン宰相様といい、妙に感が鋭い。
それとも思わず表情に出してしまっていたかしら?
「気のせいではありませんか?私は至っていつもと何も変わりありませんが」
これ以上深く聞かれないように当たり障りのない言葉を選んだつもりだったが、
「私はこれでも人の表情を読むのが得意なのですよ?」
宰相様はなぜか気になるそうで…………と言うか既に心を読まれていそうで、私は観念してその理由を話すことにした。
「……………これから陛下に申し上げようと思っていました話ですが、どうやら私は陛下の子を授かったようでして…」
何となく分かっているだろうと、私はあえてそこから話し始めたのだが、
「え!!リードの…………いえ、陛下の子をですか!?」
「え……………………えぇ」
何故かとても驚かれてしまった。
もしかすると何となく聞いてみただけだったのかもしれない。
あれ、まさか墓穴を掘っちゃった?
「失礼致しました。しかし、なぜ浮かない表情を?嬉しくないのですか?」
「決してそのような事ではありません!ただ……………」
陛下の言葉を聞くのが怖いだけ。
私が言葉を切らしたとき、
____ガチャッ。
ノックも無しに部屋のドアが急に開いた。