暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
「喜んで下さっているのですか………?」
「先程からそのように言っているだろう」
………………何だ。心配して損した。
子供が出来たことで突き放されてしまったらどうしようかと考えてしまった。
「……………どうしたのだ?」
「いえ。ただ…………そのお言葉が聞けて安心致しました」
私がそう笑って見せると、陛下は不思議そうな表情をした。
「…………それよりも安静にせよ。今までのように動く事はこの余が許さぬ。それと…………そうだな。食事も変更させねば。ファン」
「はっ」
「後で料理長を執務室へ呼ぶように」
陛下はファン宰相様にそう言葉をかけると、宰相様は部屋から出て行ってしまった。
別にそこまで気を使わなくとも良いのに……………。
「陛下」
「どうしたのだ」
私はふと思い出した事を口にしてみた。
「お時間のある時に、私の生まれた里へ一緒に行かれませんか?これはただの我儘ですのでもちろん聞き流して下さっても構いませんが……」
私がそう言うと陛下は、
「では、今から行ってみるか?」
冗談そうに口を緩め笑ってみせた。