たとえ、この恋が罪だとしても。




同じ高校に通えても、一緒にいられるのは1年間。



私とは違って優秀なお兄ちゃんは、大学は学力が相当高いところに行くんだろう。




高校は頑張って、頑張って同じ学校に入学出来た。


けど、大学はきっと無理だと思う。



だから、この1年間が最後かもしれない。



家ではない場所で、理由がなくお兄ちゃんの近くに居れるのはー…




「涼真先輩!おはようございます!!」


「!」


背後から大きな声が聞こえ振り返ると、光太郎が走ってきた。



「今日からまたお願いします!」


満面の笑みでお兄ちゃんの側まで行き、軽くお辞儀をした。



「…相変わらず、真優の犬か。光太郎」



そんな光太郎を見て呆れ顔のお兄ちゃん。


「だから!私の犬じゃなくて、お兄ちゃんの犬でしょ!?」


今だって私に背を向けて、光太郎はお兄ちゃんに尻尾を振っているように見える。


「光太郎来たから、いいな。新入生の入り口はあっち。じゃあな」


私の文句など聞かずに、新入生の入り口を指で示すと、違う入り口から先に体育館の中へと入って行ってしまった。




「もうっ…」


私の話も聞いてよ!


片足を地面に踏みつけ、不満をぶつける。



「やっぱ、涼真先輩カッコイイな」



お兄ちゃんがいなくなったというのに、光太郎はまだ尻尾を振っているように見える。



「…」



どう見てもお兄ちゃんの犬じゃん。







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